紅玉

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紅玉

 着物は綺麗になって、翌日戻ってきた。そして紅泉もまた、翌日の夜に戻ってきた。 「話がある。少し出よう」    その瞬間、胃の辺りがギュッと掴まれる気がして痛くなる気がした。  けれど拒む事もできない。ここで逃げれば、余計に関係は拗れる。  花離宮の庭に出た私は、そのまま東屋へと連れていかれる。腰を下ろした紅泉から距離を置いて座ると、彼は少しムッとして私の隣に来た。 「どうして距離を置く」 「だって…」 「だってじゃない、馬鹿者」  だって、距離感が掴めないんだから仕方ない。  私の気持ちは乱高下もいい所だ。告白に急浮上して、怒らせて急降下して、そのまま底辺を漂っているんだから、どう接していいか分からないじゃないか。  紅泉は溜息をつく。そして、私の顔をジッと見た。 「酷い顔だな」 「寝不足なんだもん。紅泉だって…」  よく見れば、紅泉も顔色がよくない。それに、心なしか弱っているような。 「体調悪いの?」  思わず聞いて手を伸ばす。触れた手は、心なしか冷たい気がした。 「ねぇ、大丈夫? 私と話してる場合じゃないんじゃ」 「心配ない。少し力を使いすぎただけだ」 「力を使いすぎた?」  首を傾げる私の前に、紅泉が何かを見せる。     
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