友達

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 結局紅泉に抱き上げられたまま彼の家に着いた私達を出迎えた紅春くんは、見た事もないくらい真ん丸の目をしていた。何に目を丸くしていたのかは、もう分からないだろう。  とにかく紅泉はすぐに湯に。  私もずぶ濡れの紅泉に抱きついていたから服が濡れていた。着替えを貸してもらい、温かなお茶を頂いて、今はやっと一息つけた。 「大変でしたね、春華様」 「あぁ、うん。でも、一番大変だったのは桜嘉ちゃんだし、体を張ったのは紅泉だから。私なんて、大して」  本当にその通りだ。私なんて騒ぎはしても、結局大して力になれなかった。  けれど、紅春くんはにっこり笑って首を横に振る。そして、私を覗き込んだ。 「貴方が頑張るから、他の人も動くのだと思います」  紅春くんの確信を得ているような言いように、私は驚いてしまう。 「貴方が誰よりも頑張ろうとしているから、皆さん力を貸したくなるのです。貴方が必死だから、皆さん心を動かされるのです」 「そうかな?」 「勿論。少なくとも兄は、多少見知っている程度の人の為に川に飛び込んだりはいたしませんよ」  嬉しい気持ちもあった。本当にそうなら、私の気持ちや頑張りは、まったくの無駄ではないと思えた。     
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