結びの祝祭

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結びの祝祭

 季節は巡って花の頃。私は二十歳となり、本日ようやく紅泉のお嫁さんとなる事となった。 「それにしても、ワンシーズン越したよ」  煌びやかな白と赤の婚礼衣装に身を包んだ私は、忙しかった冬の季節を思い出して苦笑した。  あの後、とにかく紅泉が大変だった。  戸部がズタボロの状態で、しかも税が納められる時期と重なって、目覚めた紅泉は翌日から戸部尚書代理としてとにかく昼も夜もなく働いた。甘々なムードなどどこ吹く風だ。  それと同時進行で、龍玉を受け継いだ紅泉が龍王となるのでそれの話し合いと戴冠についてあれこれあったのだが…結果的に紅泉はこれを辞退した。  紅泉は元々龍王にはなるつもりがなかったらしい。  そしてここから、周囲も含めて紫廉への圧力がかかった。紫廉が無事に光龍となれば、龍玉が選んだ王よりも優先度が高いらしい。  そういうことで、覚醒をとにかく迫ったのだ。
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