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 翌朝、私は物凄く張り切って起きられた。  髪は邪魔にならないようにまとめて貰って、小さな簪だけにした。服装も、袂のない白い衣服で動きやすさを重視した。しかも、中にズボンも履いた。  そうして葵離宮に行くと、紅泉が珍しく仕事をしないで待っていてくれた。 「おはよう、紅泉」 「あぁ、おはよう。ちゃんと動ける服装だな」  ふわりと笑う彼は、とりあえず合格点をくれたらしい。そんな小さな事がちょっとだけ嬉しかったりする。 「なになに、どうしたの?」  まだ眠そうにしている黒耀が、この会話に参加する。  その場にいた藍善や白縁も、疑問そうに首を傾げた。 「今日から紅泉の所で仕事する事にしたの」 「紅泉の下で仕事するのか!」  だらしなくしていた黒耀が突然ガバリと体を起こすと、私の肩をグッと掴む。そして物凄く真剣な目で私を見た。 「やめときなさい!」 「なんでよ」 「『官吏殺しの紅泉』なんて言われてるくらい、こいつは厳しいの!」  なんか、物凄いフレーズが飛び込んできたが…。  周囲を見ると、藍善でさえ腕を組んで難しい顔だ。 「紅泉も分かっているとは思うが、些か心配ではある。今回ばかりは、黒耀の言う事も頷けよう」 「この人について行けたら一人前。そんな噂もあるくらいなんだぜ」  藍善も白縁も、それぞれ難しい顔だ。  私は不安になって紅泉を見る。  だが、返ってきたのは挑発的な笑みだった。 「怖気づいたのなら、やめるか?」 「…やる」  こんな風に言われると私は意地になる。そして多分、それが分かっていて紅泉は言ったんだ。  なんにしても一度引き受けた話を簡単に蹴るような事はしたくない。  私は堂々と紅泉の前に立って、改めて気合を入れなおした。
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