十六君の冒険 『龍神乃剣』 第二章 「 家 族 」

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十六君の冒険 『龍神乃剣』 第二章 「 家 族 」

十六君の冒険 『龍神乃剣』 第二章『 家 族 』 私は礼子ちゃんの叔父、榊原敬二郎氏とは礼子ちゃんを交えて インターネットで度々話した。 そのうちに、すっかり馴染んでしまって、お互いを「ケイジロウさん」、 「レイコちゃん」、「トウロクくん」などと家族のように親しみを込め て呼び合うようになっていた。 そうそう、私の名前は、「田上 十六」と言う。 十六と書いて、「トウロク」と読むのだ。 礼子ちゃんは私の家から徒歩二十歩の私の叔母の家に居住している。 玄関横にはやや小ぶりの日本庭園があり、 通りに面した建物前側は平屋で、後ろ側は二階建になっている。 そして建物の中央部には、三坪程度の中庭がしつらえてある。 その中庭に沿った廊下の突き当たりに十畳程度の洋間があり、 ここを改装して礼子ちゃんの事務所になっている。 さて、この年の暮には敬二郎さんがこちらに来るのだが、 五月に入った頃、 礼子ちゃんの東京の音楽仲間から知らせがあった。 小児ガンセンター内のホスピス病棟での昨年の音楽療法の試験結果が 良かったので、正式に補助療法として再開して欲しいとの病院側の 要請を受けて、本年九月末までの約束で礼子ちゃんは東京に戻った。     
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