ゆーじょーのあかし

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ここ、穴場なんだよ。 神主のいない神社だから、手入れが行き届いていない分、虫や動物の天国なんだ。 神社全体が木陰になるほど、木が生えているしね。 「蛇がいるかも知れないから、足元、気を付けなよ!」 「やだやだやだ!」 二人そろって同じことを言う。さすが双子だ。 「あんまり騒ぐとカブトムシ逃げちゃうよ?」 とおどすとピタリと止まる。 俺は二人の手を引いたまま、木の幹を見上げる。 「セミは結構いるな……。やっぱり昼間は難しいかな?」 「カブトムシいないの?」 「うーん。登ってみるか?」 「僕たち、木登りしたことない」 うーん。俺がこの子たちぐらいの時は木登りしてたけどな。 「じゃぁ、お兄ちゃんが登って、カブトムシいたら落とすから虫取網で捕まえなよ?」
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