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「まさか…」
さっきのガーゼ――甘い匂いは睡眠誘発剤の匂いだったのか。不覚。何なんだこの状況は。腰に回された知らない男の手が気持ち悪い。
「ごめんねー!びっくりしちゃったー?大丈夫、すぐ気持ちよくなるから」
「は?」
この男は何を言っているんだと思った瞬間、するりと太ももを撫でられた。
「――ッ?!」
遊ぶって何?そういうこと?私は誰かの恨みを買ったおかげで名前も顔も知らないこの男に――?
今にも睡眠誘発剤の効果で意識が飛びそうだ。このままではこいつの思い通り――嫌だ、絶対に嫌だ。今、意識があるうちに、こいつをやるしかない――その後の事は意識を取り戻してから考えよう――正当防衛だと言われなければそれまでだ――自分を守るために、手段を選んでいる暇はない――そう考えた時、左手元には魔法陣が現れ、火の粉が舞った。
ふっと目の前が暗くなる。それは、一瞬の出来事であった。
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