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「え…ちょっと待って待って待って」 なんで閉まる、自動ドアじゃないだろうここの扉は、まさかまさかまさかと思いながらドアへ駆け寄る。息切れしながら扉を開こうと手を掛けたが、扉はびくともしなかった。 「まさか、おばけに閉じ込められた…」 やばい、どうしよう。とりあえず助けを呼ぼうと左手で眼前にモニターを表示させてみたが、そこには「圏外」とだけ表示されていた。 「嘘だ…」 どうしよう、一時間後には仕事があるのに。いや、それどころではない。元々使用されることが少ないこの古びた倉庫棟である。何時間、いや何日と人が来ないことだって有り得る。このまま、ずっとここに閉じ込められてしまったらどうしよう。エーデは軽いパニック状態に陥っていた。 「一次魔法で火起こして燃やすか…いや、さすがに捕まるからダメか…どうしよう」 そう考えた時、目の前に鉄パイプが落ちているのが見えた。遠くにガラス窓も見える。窓を割って出るくらいなら、学長も許してくれるだろう。なにせ、私には仕事があるのだ。手段を選んでいる暇はない。 左手を鉄パイプにかざした瞬間、エーデと鉄パイプを囲んで魔法陣が現れる。一次魔法で風を操り、鉄パイプを窓に向かって勢いよく投げようという訳だ。 そういう作戦のはずだった。 「あれ?」 鉄パイプが動かない。いや、こんな簡単な魔法を自分が失敗するはずがない。試しに鉄パイプに触ってみると、鉄パイプはビクとも動かなかった。鉄パイプが相当量の質量で動かせない訳では無い。重かったところで魔法で操れるはずだ。 試しに隣に落ちていた木の枝を拾おうとしてみた。しかし、木の枝はまるで地面に張り付いているかのようにビクともしない。 この空間が保存状態にされている――咄嗟にエーデはそう推理した。何らかの力によって、今この空間は制御され、物質の移動・変換ができないようになっている。 つまり――この空間から私は出ることが不可能。
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