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「いるんじゃないのかな?私はこの中に武がいる事を信じたいよ」
「俺もだ。俺も・・・」
そう言う武の瞳からは涙が溢れ落ちていた。
「龍太は、俺たちの中に生き続けているんだと俺は思う」
「え?」
私は武の言っている意味がよく分からなかった。
「龍太は確かに死んだ。だけど、龍太と過ごした時間や思い出や言葉は俺たちの心に残り続けるんだと俺は思いたい」
その時、私は「そうだな。確かにその通り」だと思った。人はいつか必ず死んでしまう。だけど、その人の生きた証っていうのはその人の今まで関わってきた人達の中に残り続けて行くんだと思う。そう考えると、人は永遠に生き続けるんだと私は思った。人と人の繋がりの中で人は生きている。そして、その繋がりは時代や世代を超えて人々を繋いでいくバトンなんだと。
私の中にも武が生き続けているんだなぁと感じた。もちろん、武の中にも、担任の先生の中にもクラスメートにも。
人を大切にするっていうことはつまり、そういうことなんだと私は思う。
たとえ、私が死んでも家族や武の心の中に私は生き続ける。
人は人の繋がりの中で生きているんだ。私は少なくともそう思うし、そう思いたい。
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