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「ねぇ、武、龍太はこれで本当に喜んでくれるのかな?」
紺青色の海が月明かりに照らされて銀色に輝いている。
私は海風に吹かれながら隣にいる幼馴染、北山武に聞いてみた。
「多分、喜ぶんじゃねぇのかな。あいつ、俺たちの中で一番星や星座が好きだったし。あの事もあるし。」
私は、北山 武くんのその言葉を聞いて、心がほんのりと温まる気がした。
「そうだよね。龍太、とても星が好きだったもんね。龍太いつも『僕は星を何時間見てても飽きない。星ほど美しく、綺麗なものは無い。望遠鏡で見たら一層綺麗だ。宇宙空間で起きている自然現象は、僕にとってこれ程知的好奇心を唆られるものは無い。その星の生と死の誕生を僕は解き明かしたいんだよ』って言っていたもんね。何よりも、そして、誰よりも星を愛していたと私は思うな」
同じ海、同じ星空、同じ地平線、同じ月、みんな見ているものは一緒の筈なのに、何故か同じものを見て感じることはこんなにも違う。
それが、嬉しいのか、悲しいのかは分からないけれど、何故か、こんなにも近いのに何処か遠いところにいる気がして仕方がなかった。
私は、夜空に無数に輝く星空を見上げながら、十年前のあの日の事を思い出 していた。
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