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十年前のあの日、小学校二年生だった私達は、学校が終わると、一旦家に帰ってそこから学校の近くにある公園で待ち合わせをし、そこから釣りや星空観察、虫捕りをして遊んでいた。
その日もいつも通り、星空観察をする為に、公園に十八時に集合の約束をしていた。
一番早く公園に着いたのは私だった。
私は、腕時計をちらりと見る。
腕時計の針は、集合時間の六時を指していた。
それから約十分経っただろうか。
「遅れてすまん。支度に手間取った」
声のする方を向くと、武が息を切らしながら走って来ていた。
「おっそーい!!十三分遅刻!」
「ちょっとくらい良いじゃねぇか!そんなにぷりぷり怒ってっと皺が増えるぞ。お前は俺の母ちゃんか!」
「何言ってんのよ~」
そう言って二人で笑い合う。
「龍太はまだなのか?珍しいな。いつもなら時間ぴったりに来るはずなんだが・・・」
それから、二人で龍太が来るのを待った。
それでも、龍太が公園に来る気配は微塵もなかった。
幾ら何でもおかしい。遅過ぎる。
私達は龍太の家に行った。
玄関のインターホンを押す。
すると、龍太の母が出て来て、
「おばちゃん。龍太は家にいる?今日、一緒に星を見る約束をしてるんだけど」
龍太の母親は不思議そうな顔をして
「龍太?龍太なら一時間くらい前にあんたらと星を見るんだと言って出掛けたよ。会わなかったのかい?」
私と龍太はぱちくりと目を合わせて
「いえ、見てないです」
母親の顔から血の気がスッーと抜ける。
そして、手を顔に当てて
「どうしよう?こんな事今まで無かったのに」
私は、龍太の母親を元気つけたかった。彼なら大丈夫だと。
「龍太ママ、大丈夫だよ。龍太のことだからきっと、そこら辺の虫に夢中になっているんだよ」
「そうね、きっとそうよね」
私と武、そして、龍太の両親は行方不明となった龍太を捜した。探し始めてから二時間経ったが、龍太は何処にも見つからなかった。
暗いので、龍太の母親が「遅いから二人は帰りなさい」と言うので仕方がないので諦める事にした。
龍太の両親は、見つからない龍太に何か不吉な事が遭ったのではないかと心配していた。
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