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私は何を思ったのか、
「あの、龍太君はきっと見つかりますよ。多分、星を見るのに夢中になっているんじゃないですかね」
こちらを向いた両親の目は虚としていて無気力だった。
彼女は、私たちが不安にならないようにと思ったのか、無理矢理笑顔を作って、
「そうね。真由ちゃんの言う通りよね。きっと星を見るのが待ちきれなくて何処かで夢中になってみているんだわ」
そう言った龍太の母親の声は、不安や心配の影響なのか震えていた。
私の心臓がドクンと大きく波打つ。
混乱して、頭の中が白くなる。
昨日まであんなに元気だったのに。
昨日まで一緒に帰っていたのに。
こんな事って・・・・・・ないよ。
「皆からは 私が話しておく。二人は大丈夫か?」
「はい。大丈夫です」
と武。
先生は、私の気持ちを察したのか、
「澪、保健室で寝て来なさい。」
「はい。」
私はぼんやりとした頭で保健室に行き、保健室の先生に体調不良という事でベットで寝させてもらった。
実感が全然湧かない。
今までずっと一緒にいた人がいきなりいなくなるなんて想像も出来ないよ。
澪はボッーと白く無機質な天井をぼんやりと見つめていた。
いきなりなんて、そんなの急すぎるよ。
澪の頭の中には走馬灯のように龍太との思い出が駆け巡る。
龍太は虫が嫌いで泣き叫んでいたっけ。
花飾りも作って遊んだし、島に公園の真ん中に一本だけ生えている桜の木の下で町の人達と花見も見たなぁ。
夏にはほぼ毎日三人で海で遊んだし、夜には満天の星空をずっと朝が来るまで三人で良く眺めてたよなぁ。その時に話す龍太の明るい声と眼鏡の中から見える輝く瞳が忘れられなかった。
秋には、枯葉や、木の枝を使って浜辺で三人でキャンプファイヤーをして夜空の星を眺めたよなぁ。龍太の楽しそうに話す横顔が忘れられない。
冬は、雪が降った日には三人で雪合戦をしたり雪だるまを作ったりして遊んだな。冬が一番夜空が綺麗だったな。夜空に散りばめられた宝石のようでこの時期の星が私も武も龍太もみんな大好きだったよな。この時期の星を眺める時は龍太も黙って星を眺めていたな。
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