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「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
心臓を握りつぶされそうな感覚に襲われた。気づくと見覚えのある天井、そして、部屋にいた。
ああ、なんだ。夢か。
自分の手を握ると手汗が凄かった。どうやら、制服服のまま寝てしまったらしく、制服のシャツも汗で体にべったりと着いておりブラウスが透けていた。
時計を見ると2時15分を指していた。取り敢えず、汗だくの体を流しに、風呂場に行く。家族は全員寝ているらしく、家の中は静かだった。私は一人シャワーを浴びた。
鏡の中の自分の裸体を見る。細く綺麗な体をしていた。
私もいつか死んでしまうのだろうか。もし、私が死んでしまったら武やお母さん、お父さん、それに弟だって悲しんでしまうだろう。
シャワーから出るお湯が温かく心地よかった。
この温もりも死んでしまったら感じなくなるのだろうか。美味しいご飯を食べる事も友人と学校の帰り道にアイスを食べる事も出来なくなってしまう。そんなの嫌だ!絶対に!
私はお風呂から出て体を拭き、寝間着を着る。自分の両手をふと眺める。小さく白い手。何かを掴めそうで掴めない。そんな手をしていた。
私もいつか死んでしまうのだろうか。死んだら私はどうなってしまうのだろうか。地獄や天国に堕ちる?それとも暗闇の中で彷徨い続ける?龍太は今どうしているのだろうか。一人で暗い所に閉じ込められているのだろうか。
私は自分の部屋に戻り自分の勉強机の椅子に座り小学校の頃から毎日つけている日記帳を開く。
「『死ぬ』ってどういう事なんだろう?脳死になった時?心臓が動かなくなった時?天国や地獄がどうのとか言う人がいるけれどそれはないと思う。そんなものは人が勝手に想像したものに過ぎない。だけれど、私はこれだけは言える。私の思い出の中にある龍太の爽やかな声や冬の日のあの星を見る龍太の真剣な顔が忘れられない。まだ、龍太はわたしの中に生きているんだっていう感覚がある」
私は日記を書き終えると、体が鉛のように重かった。私は、自分のベットへ直行し、そのままうつ伏せに倒れてぬいぐるみを抱きしめる。
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