1/1
前へ
/1ページ
次へ

沼に落ちて数時間が過ぎた。もう肩まで沈みつつある。 そこに漁師が通りかかった。漁師は釣糸を私に向かって投げてくれる。 「これで助かる!」 つかまると、釣糸が私を岸の方へいざなう。だがその糸はとても細く体重を支えきれそうにない。私は暴れた。漁師も沼に落ちた。 「これで五人目だ」 糸をたぐり寄せ、やっとの思いで漁師を近くまで引き寄せた。漁師は私に「すまなかった」と謝った。 「なにをおっしゃいますか、ありがたいことですよ」 私は5人目の体を踏み台にして、沼から外に出ることに成功した。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加