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「道具屋のオヤジに聞いても、恐らく不思議な粉は出て来ないだろう。諦めて帰るを選択した場合、魔王が黙っちゃいない。つまり、三十分かけてダンジョンに行くしかないはずだ。フフッ……俺を仲間にして良かったな。俺は旅に必要なアイテム、馬車を持っている。一度家に帰り、俺の力を存分に使って、幻のアイテムを手に入れるがよい!」
「……近くに別のコンビニがあるから、そこで買うよ」
「なっ!? フフッ……ハーッハッハッハ! 新しい選択肢を導き出す。これぞゲームでは味わえない醍醐味。良太……いや、勇者よ。成長したな」
店員の目が痛い。高笑いする変質者と、あだ名を付けられているだろう。
「もういいから、この醤油と味噌を買ってよ。僕は外で待ってるからさ」
「待て、勇者よ。これを見ろ……氷が置いてあるぞ。これさえあれば敵の体を凍らせ、脳に直接攻撃を与える魔法が使用可能だ。買わなくていいのか?」
かき氷が食いたいなら素直にそう言え。頭がキーンってなるだけで、脳にダメージなんて無いだろ。
どっと疲れたので、高笑いする変質者に荷物を渡して外へ逃げた。このコンビニは近くて便利だったのに、高笑いする変質者の子供と覚えられてしまったから、もう来る事は無いだろう。
片栗粉を買う為に向かった別のコンビニでも同じ様な事を繰り返す。こうして僕は、近くのコンビニに行けなくなった。
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