コンビニ

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「私があんたがかっこいいって思ったからだよ。あんたは以前の私みたいに引きこもりやってんのに、それを周りのせいだって荒れ狂ってる様子がない。それどころか、ストーカーと勘違いされたのに、真犯人が捕まったか訊ねてきたり勘違いされるような行動してた自分が悪かったんだ、とか。それ、聞いたとき恵まれて甘ったれたお嬢さんだからそんな優しいことやってんのかなとか思ったんだけど、それも全然違った。」 そう言いながら、古い木造のうちを見上げた。 「ううん、私は甘ったれだよ。引きこもってて、自分の食いぶち稼いでないんだから。」 「それでも、足掻こうとしてんだよな?この前、コンビニに来たとき支払いして買おうとしてた本って自分の読みたい本の新刊だけじゃなかったんだろ?」 「何で、知って…………?」 「お前のかぁちゃんから聞いたよ。時々、隠すようにして、資格取得の本とか、人見知りの克服の本とか一緒に買ってるみたいだって。」 私は俯いた。 「私は真逆だったから、あんたのことがすんげー眩しく見えて、どうしようもなく応援したくなるんだ。私なんかが応援できるような事なんて何もないかもしんないけど、それでも…………」 「私、綾さんが会いに来てくれて、すごく助かってる!忘れかけてた人と喋ること思い出させてくれたり、家から一歩も出てなかった私を玄関の前まで引っ張り出してくれたり!自分じゃ出せない勇気を綾さんが引っ張り出してくれてるんだ!」 私は、初めて大声で気持ちを伝えた。
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