奴は我がもの顔

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奴は我がもの顔

私が小学生の頃に奴に出会った。 まだ目の開いてない奴は小さくて、弱くて、 消えてしまいそうだった。 私は自分の時間を使って奴の面倒を見た。 奴は私の心配を知らないままにすくすくと成長して、 あっという間にでかい顔をするようになった。 私のランドセルを座布団代わりにしたり、爪を研いでぼろぼろにしたり、悪気のない様子でいる。 大きく、心配のいらない姿になる頃には、要求をするようになった。 飯が欲しい、外に出たい、押し入れに入れてくれ、暇だ遊べ。 それを私は嫌な気持ちにはならない。 それは奴の可愛いさ故、ついつい許してしまう。
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