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赤い表紙のアルバムは、夫婦になってからのもの。
まだ、台紙を増やしてないから重みも少ないアルバム。
アルバムの最初は、結婚式からだった。僕も妻もそんなに友人がいる方じゃなかったから、親戚と家族だけの式だった。
それでも、幸せで…たくさん泣いたの覚えている。妻が手紙を読むというのに、僕が号泣してしまい何故か妻に慰められていた。
真っ白なドレス、黄色のドレス。
どちらも凄く綺麗だった。式が終わったあと彼女が
『料理ほとんど食べ損ねちゃった。』
と、言った時は僕は腹を抱えて笑った。
水族館、遊園地、動物園。
桜並木、海、クリスマス。
いろんな写真が続く…。
妻が作ったアルバムを見たのは、実は初めてだった。
だから、僕は気づかなかった。
どんどん写真が減っていることに。
僕たちは、いつの間にか写真を撮らなくなった。いや、出かけることも少なくなっていた。
毎週、僕の休みの日にスーパーに買い出しに行きたまにお昼に外食をする。
それだけだった。
僕たちのデートは、それだけだった。
赤い表紙のアルバムは、まだ白紙の台紙の方が多かった。そして、写真に写る彼妻もいつしか大きな口を開けながら笑わなくなっていた。
僕は、気づかなかった。
妻が笑わなくなっていたことに。
そっとアルバムを閉じて、僕は布団に体を沈めた。
迎えに行こう。
妻を迎えに行こう。
でも、その前に僕にはやらなきゃいけないことがある。
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