指輪

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いつものコンビニ。 付き合っていた頃からずっと変わらない僕たちの待ち合わせ場所。 プロポーズした時もこの場所で待ち合わせた。 コンビニの壁に背中をあずけながら、僕はいつも彼女が息を切らせながら走ってくる方を見ていた。 ー彼女の事が好きだー 当たり前に事だったのに、こんなことになって僕は気づいた。彼女の事が何よりも一番大切だってことに。 彼女の笑顔が好きだ。 彼女の笑い声が好きだ。 彼女の優しい手が好きだ。 彼女がくれるどんな事も好きだ。 ー彼女の事が好きだー どれくらいの時間そこで待っていたかなんてわからなかった。随分暗くなってから彼女は、ゆっくりと現れた。 「…来ないかもって、考えなかったの?」 「あっ…、考えなかった。」 「…バカ。」 僕は、いつものように何も言わずに彼女に手を差し伸べた。彼女は、少し戸惑ってから僕の手を握る。 温かくて、優しい彼女の手。 いつの頃からか、手も繋がなくなっていたんだ。 繋いだ手から伝わってくる彼女の体温を懐かしく感じた。 僕たちは、歩きながらぽつぽつと会話をするだけだった。そして、別れた僕たちの部屋についた。 「また、食べっぱなし…。」 テーブルの上を見た彼女の最初の言葉。 彼女は、そう言いながらパンのゴミを捨てていた。 「いつも、ありがとう。」 彼女は、そのままいつもの椅子に座る。僕も彼女と向かい合うように座った。 彼女は、僕の顔を見ないようにうつむいていた。
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