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「こっち見て。」
僕の言葉に彼女が顔を上げる。
「…僕の話、聞いてくれる?」
小さく頷く。
「どうして君があんなこと言ったかわかった気がした。あの後、アルバム見たんだ。全然違ったね、付き合っていた時とは…。あんなに笑ってたのに、だんだん笑わなくって、ごめんね!僕がそうさせてた。君の気持ちなんて考えないで夫婦だから、大丈夫だって勝手に思ってた。ごめん。」
「…笑わなくなったのは、あなも同じ。私といても楽しくないのかなって思った。だから…。」
ポツリと言った彼女の言葉が刺さる。
「何処かで普通になってた。君がいる事が…いなくなるなんて考えてもなかった。ずっと一緒だと思ってたから…。」
小さく息を吸い込んだ。
「まだ、離婚届も出してないから…変かもしれないけど、もう一度僕の奥さんになってください!ここから、また初めて欲しい…いっぱい笑う二人で初めよう。」
僕は、買ったばかりの指輪を彼女に差し出した。
「……新しいの買った?」
彼女の言葉に頷く。
「本当に、あなたが笑える夫婦になれる?」
「絶対になるから!」
「……お願いします……。」
「あ、あ、あり、ありがとう!!!」
妻の言葉に涙が止まらなかった。
「手だして、新しい指輪つけるから。」
妻の指にはめた新しい指輪は、少し大きかった。
「あれ?おかしいな?」
「もぅ、あなたらしいね。」
「で、でも、お店の人は後で直せるし…名入れもしますって言ってくれたから大丈夫だよ!」
僕の言葉に妻は、大きな口を開けながら笑っていた。
古い指輪は、ケースにしまってからアルバムと一緒にしまった。
そして、あの時みたいに頬っぺたをくっつけながら夫婦の始まりの写真を撮った。
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