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赤い糸は。
その赤い糸の先は美智子の左小指の赤い人に繋がっていた。
夫の正彦だった。
美智子は大きく目を見開いた。
涙が美智子の頬を伝わり落ちた。
左手に夫の手の感触をかんじ首を傾ける。
二人の手は赤い糸でしっかりと結ばれていた。
「あなた…」
美智子はかすれた声で夫を呼んだ。
疲れ果て眠っていた夫はゆっくりと目を開けた。
その目は充血し頬にはいつくも涙の筋が残っていた。
「あなただったのね….」
二人を繋ぐ赤い糸は、いま黄金色に強く輝いていた。
「ありがとう」
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