2 遥か東京

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 弟はきょろきょろと物珍しそうに部屋中を見回して、兄に注意されていた。仲の良い兄弟なんだろう、俺は一人っ子だったから少しうらやましい。  兄弟の布団代わりになるものを、と押入れを探していたら小さくお腹の鳴る音が聞こえた。ふりむくと二人の気まずそうな顔。   「もしかして君らはお腹が空いているの?」  兄弟は、恥ずかしそうに頭を下げた。    午前1時二人を連れて24時間営業のコンビニへと向かう。近所のどこにでもあるコンビニチェーンを二人は物珍しげに眺めていた。店内に入ればこの時間でさえも食べ物から生活用品まで買える事実を知り、口には出さないが感動すら覚えているよう。彼らは一体どんな田舎からやって来たのだろうか。   「欲しいのは食べ物だろう? 好きなものを持っておいで。遠慮はいらない」  そう言うと兄弟は遠慮がちにおにぎりを一人一つずつ。   「遠慮はいらないって言ったろ? お弁当でも丼でも構わないよ。育ち盛りなんだから好きなだけ食べなさい」  その言葉に弟は喜んでカツカレー弁当を。兄も戸惑い、恥ずかしそうにハンバーグ弁当を俺に差し出した。そして小さな声ですみません、と。  甘えた経験がないのだろう、その姿にかつての俺を思い出す。東京は恐ろしい街だと聞いていたから。       
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