2 遥か東京

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 あと何年そばにいられるかわからない老いた二人とは、楽しかった思い出だけが残ってほしかったから。    そんな中学三年生の冬、学校で行われた性別検査で事態は思わぬ方向に行く。ベータやオメガが大半のクラスの中で俺だけがアルファだった。アルファは生まれながらの勝利者だ、俺を笑っていたいじめっ子は目をそらして距離をおくようになった。彼らが投げたボール以上に俺が投げたボールのほうが当たったら痛いと言うことを知ったのだ。同じことをしてやろうか? そんなことは思ってはいなかったが、これで静かな生活を送れるのならそれに越したことはない。このアルファの能力で祖父母に恩返しを、そう思っていた冬の日祖父母は事故で亡くなった。その日から俺に本当の孤独がやってきたのだ。    アルファだったとは言え、親戚の中で進んで俺を引き取るものはいなかった。愛想はないし無口で人付き合いの下手な可愛げがない俺なんて育てたくないのは当然だろう。それでも俺はと遠い親戚にあたる家族に渋々と引き取られることになる。生家はもう誰も住まないから、取り壊すことになった。俺の生きて来た足跡が消えて行く。     
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