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幸せだった。とっても、幸せだったの私。
今もすごく。幸せなの。
「お母さん…まだ頑張って…お願い」
「ばぁば…いっちゃやだよ」
いつからかしわくちゃになった私の手を同じようにしわしわになった貴方の手が握る。
遠い記憶の中の貴方の手は大きくてあったかくて力強かった筈なのに、いつからこんなに冷たくて弱々しくなってしまったのだろう。
それだけ私たち歳をとったのね。
それだけ手を繋いでなかったのね。
人前で触れ合うのは恥ずかしいのでしょう?
みんないるのにいいの?
言いたい事はたくさんあるのにもう声にならなかった。
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