③ ヒロイシタカイチ

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 最後はいつも、口に含まれた。 「汚くないの?」 一度だけ訊いたことがある。 「大丈夫よ。たぁ君のだもの」 そう言ったあの女の声と笑顔は、とても優しかった。  口の中は、あたたかく濡れていた。 慣れると気持ちが良くなった。 手でされるのとは全然違った。。 舌の上で転がされた。 舌が張り付いてきた。 舌が巻き付いてきた。 あたたかく濡れた舌がうねるたびに、頭の裏側が(しび)れて、腰から力が抜けた。  最初のうちは、それだけだった。 やがて、そうされることで、‘‘変身’’ に到るようになった。 身体中の芯の部分が脱力し、そのくせ、熱いエネルギーでいっぱいになる。 戦隊ヒーローが変身して強くなるみたいに、ぼくの身体にも ‘‘変化’’ が起きているのだと思った。  _絶頂感。 はじめは何にも出なかった。 ただ、ビクンッ!となって、身体の中が ‘‘変身’’ するだけだ。 外見的には何も変わることはなかった。 目に見える現象もなかった。 でもそれは、生まれて一番の快感だった。 そうなる度に、何かがリセットされる気がした。 なんだか、とてもクセになる感覚だった。  ぼくはそれを、自ら望むようになった。 そうしてもらえることが、楽しみで仕方なくなった。。
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