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「あたしたちももう3年目だね」
海辺。
隣で海を見つめる彼に声をかける。
「……だな。早いもんだよな」
こんな返事を期待してたわけじゃないのに。
今日は、今日こそはって思ってここにきたのに。
最近、彼が毎日なにかを言いたそうで。
それは何なのか大体検討がつく。
だからあたしからこう話題を降ってるのに。
それともあたしの勘違いなのだろうか。
もしかして、本当は別れようとしていていいだせずにいるのだろうか。
何かを言いたそうなのにハッキリしない彼のせいで、悶々としてくる。
「ねえ、最近……「あ、わりぃ」
意を決して声をかけたところで、彼のスマホの着信音が鳴る。
「大丈夫だよ。出ていいよ」
「もしもし?」
あたしに片手を上げて〝ごめん〟と言って、彼はそのまま電話に出た。
また邪魔が入った。
たぶん相手は同じ会社の後輩。
女の子だ。
たぶん彼のことを好き。
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