まずは

2/5

52人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「あたしたちももう3年目だね」 海辺。 隣で海を見つめる彼に声をかける。 「……だな。早いもんだよな」 こんな返事を期待してたわけじゃないのに。 今日は、今日こそはって思ってここにきたのに。 最近、彼が毎日なにかを言いたそうで。 それは何なのか大体検討がつく。 だからあたしからこう話題を降ってるのに。 それともあたしの勘違いなのだろうか。 もしかして、本当は別れようとしていていいだせずにいるのだろうか。 何かを言いたそうなのにハッキリしない彼のせいで、悶々としてくる。 「ねえ、最近……「あ、わりぃ」 意を決して声をかけたところで、彼のスマホの着信音が鳴る。 「大丈夫だよ。出ていいよ」 「もしもし?」 あたしに片手を上げて〝ごめん〟と言って、彼はそのまま電話に出た。 また邪魔が入った。 たぶん相手は同じ会社の後輩。 女の子だ。 たぶん彼のことを好き。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加