52人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「ははっ!大丈夫だって、明日俺がフォローしてあげるから」
彼の方はその女の子の気持ちに気づいてなくて。
後輩から頼られることに喜んでる。
あたしとデートをするのを知ってるからかけてきてるのに。
いい加減、あまりにもタイミングが毎回合いすぎていることに気づいてほしい。
「大丈夫だって岬(ミサキ)なら」
──ほら、やっぱり。
彼が発した名前であの子と話しているんだとわかる。
本当なら、その名前だって呼んで欲しくないのに。
どうしてだろう。
「ごめんな。雪谷」
話し終わった彼は申し訳なさそうにあたしの所に戻ってくる。
同期だったあたしたちは2年間同僚として働いて、そこから付き合った。
だからずっと名字呼びだったし、それが抜けなくて未だに名字で呼んでいるし呼ばれている。
それが嫌だと思ったことはない。
でも、あの子を名前で呼ぶなら先にあたしを呼んでほしかった。
最初のコメントを投稿しよう!