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「……ううん。そろそろ寒くなってきたし車に戻ろうか」
「あ、いや……その……」
またはじまった。
彼のなにかを言いたいのに言えない感じ。
「桐生くん?」
「いや、いっか……」
顔をブルっと振って、車に向かって歩き出す。
「いっかってなに?」
さすがに毎回の出来事にあたしも黙っていられはくなる。
「いや、たいしたことじゃないんだ」
「……そっか」
言いたくて言えないことなんて、2つのうちのどちらかしかないじゃない。
「うん、別に……「たいしたことじゃないよね、あたしと別れるなんて」
桐生くんの言葉を遮って、自分の言いたいことを話す。
「は!?」
あたしの言葉にすっとあたしの腕に伸びてくる彼の手。
「言えないんだから、あたしから言ってあげるよ。ずっとなにかをいいたそうだったよね。この一ヶ月」
「いや待てって。なんで別れるんだよ」
焦ったような顔であたしをみる。
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