まずは

5/5

52人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「別れたいんじゃないの……?」 「ごめん、そんなふうに不安にさせてたならさっさといえば良かった」 はあっとため息をついてあたしをぎゅっと抱きしめる。 「桐生くん?」 「もう、名字で呼ぶのやめてよね?」 「え?」 「桐生になるんだからさ……」 照れくさそうにあたしを見つめる。 「なにそれ、プロポーズ?」 「……んだよ、もっと喜ばねぇのかよ」 「だって普通もっとこうサプライズ的な」 彼らしくて笑えてくる。 「笑うなよ!人の一世一代のプロポーズを」 「これが?まぁこれが桐生くんか!」 あまりにもおかしくて笑いが止まらない。 「秋菜(あきな)」 ふいに呼ばれた名前にドキッと胸が高鳴る。 「ふいうちはずるいよ、悟」 あたしも彼の名前を口にする。 「お前もだろ」 ふわっとあたしの頭を撫でる。 「秋菜、結婚しよう」 すんなりと出てきた彼の言葉は あたしの胸にもすんなりと入ってきた。 「はい!」 元気よく返事をして彼の胸に飛び込んだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加