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「別れたいんじゃないの……?」
「ごめん、そんなふうに不安にさせてたならさっさといえば良かった」
はあっとため息をついてあたしをぎゅっと抱きしめる。
「桐生くん?」
「もう、名字で呼ぶのやめてよね?」
「え?」
「桐生になるんだからさ……」
照れくさそうにあたしを見つめる。
「なにそれ、プロポーズ?」
「……んだよ、もっと喜ばねぇのかよ」
「だって普通もっとこうサプライズ的な」
彼らしくて笑えてくる。
「笑うなよ!人の一世一代のプロポーズを」
「これが?まぁこれが桐生くんか!」
あまりにもおかしくて笑いが止まらない。
「秋菜(あきな)」
ふいに呼ばれた名前にドキッと胸が高鳴る。
「ふいうちはずるいよ、悟」
あたしも彼の名前を口にする。
「お前もだろ」
ふわっとあたしの頭を撫でる。
「秋菜、結婚しよう」
すんなりと出てきた彼の言葉は
あたしの胸にもすんなりと入ってきた。
「はい!」
元気よく返事をして彼の胸に飛び込んだ。
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