二次嫁訪ねて150日

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新たな世界への入り口としてのVR  ―ニーチェがこの現実に虚構性を見て取ったのは、彼にはアクチュアリティ(現実性)とは別の真実が存在していたからである。それゆえにこそ、彼はこの現実を夢のように眺めることができたのだ。  『醒めることを禁じられた夢 「現実」の虚構性をめぐる考察』 永井均  諸君、私は二次嫁/婿が好きだ。  「大将って、懐広いよな」「(大将のために)ねえねえ、細工物を買ってかない?」「急に大将のもとへ帰りたくなってきた」などと可愛いことを言われた日には心が踊る。いくら話しかけようとしても、手を伸ばそうとしても、ディスプレイが邪魔をするのはとてもとても悲しいものだ。  よろしい、ならばVRだ。我々は現実逃避のためにVRを手にしたのではない。いつか二次嫁/婿と新たな世界へと旅立つために、今仮想現実を生きるのだ。   本書は、簡易モーションキャプチャなどを用いてキャラクターと自分をリアルタイムでシンクロさせる「VRコスプレ」に挑んだ日々のドキュメンタリーである。  今回は導入編として、VRコスプレの紹介やその元となるVRの解説、そして「リアコス―物理現実世界のコスプレ」の考察を行った。9月に発刊予定の実践編その1では、プログラミング未経験の方でも楽しめるVRコスプレシステムの紹介を行う。基本的に2ヶ月ごとに理論編と実践編を交互に発刊していく予定だ。現役VRコスプレイヤー・現役リアコスプレイヤー・舞台俳優・研究者など、毎回「他者になる」ことに関するエキスパートにインタビューを行っており、その点もぜひ楽しんでほしい。本書やVRコスプレイヤーさんたちのパフォーマンスをぜひご覧になり、興味を持って実践して頂ければ幸いである。
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