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「実はおれ、魔法使いだったんだ」
「は?」
恋人のトンデモ告白に、おれは食べていたきぬかつぎを喉につまらせそうになった。ごほごほと咳き込むおれに、剛史は急須から茶を注ぐと、落ち着けとばかりに湯飲みを寄越した。
おれは剛史の淹れてくれたほうじ茶を飲むと、は~っと息をもらした。
いまなんかとんでもないことを聞いた気がする。もちろん、なにかの冗談だよな。
「・・・・・・いま魔法使いって言ったか」
おそるおそる尋ねると、剛史はいたって真面目な顔で、そうだとうなずいた。
どうしよう。なんか変なもんでも食べたんだろうか。それともどっかで頭でも打ったか?
内心パニクる心を落ち着かせようと、そろり目の前の恋人をうかがうと、剛史はいつもと変わらないようすで焼き茄子とミョウガの味噌汁を飲んでいた。
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