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俺は剛史の襟元をぐいと引っぱった。暗闇の中で驚いて目をまるくした剛史と目があう。胸にぐっとこみ上げてくるものに、俺はどうしていいかわからなかった。自分の指先がかすかに震えていることに気がついて、困惑したように剛史を睨みつける。
「おまえはいつもそうなんだよ! 自分ばっか好きだと思って、ひとの気持ち、勝手に軽くみて。なんなんだよ。ふざけんじゃねえよ!」
「・・・・・・それって、智樹も俺と同じくらい好きだって言ってるってこと?」
俺はカッと赤くなった。
ここまで言わなきゃ伝わらないのかと、恥ずかしくて、腹立たしくなる。けれど、剛史が期待に満ちた目を向けてくるので、俺は剛史の頭を引き寄せると、これ以上ないくらい甘くて優しいキスをした。
唇を離してそっと剛史の顔を見ると、剛史の耳たぶまでが真っ赤に染まっているのがわかった。
ふん。ざまーみろ。
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