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6
そこは、いつもと同じはずのホームルームだった。
すん、すん、と、前から右から、鼻をすする音が聞こえる。
横の席を見ると、そこにいた生徒はハンカチで顔を押さえてむせび泣いていた。
他の生徒もみんなそうだ。まるで、何かの宗教団体かのように、みんながみんな同じ行動を取っている。みんながみんな泣いている。
一体どうしたというのだろう。
教壇に立つ、四十過ぎの女性教師が、やつれた顔で、俯きがちに口を静かに開いた。
「葬儀は、木曜日に行われるそうです」
はて。葬儀とは何のことだろう。
それを聞いたみんなの流す涙が多くなる。
ハンカチで顔を覆う者、大声をあげて泣きじゃくる者、机にうつ伏せて嗚咽を繰り返す者。クラス中が、グレーとブルーの空気に包まれていた。
何故、このクラスで私だけ泣いていないんだろう。
一体、何が…何が…何が…――――――あ。
そうだ。
ハシ先は、電車のホームから落ちて、亡くなってしまったのだ。
一体、この光景を見たのは、何度目だろう。
そうだ。私は、ずっと、ここから抜け出せないでいる。
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