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繰り返す日常。 あの日から止まったままの私の毎日。 あの時、教室で私は一滴も涙が出なかった。 そのまま家へ帰る。 パソコンへ向かう。 カタカタカタ。 カタカタカタカタカタ。 カタッ、ターンッ。 気が付くと夜になっていた。夜ご飯も食べずに、こんな時間まで没頭してしまった。 ベッドに横になって、ヘッドマウントディスプレイを被る。 私の記憶を、このVR装置の中へ再構築させた。 心にぽっかり空いた、この寂しさをこれは埋めてくれる――そんな気がした。 スタートボタンを押す。 暗闇の視界に、鮮やかな夕日とオレンジ色に染まった教室が描き出された。 そこからは、思い出の繰り返しであった。
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