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「木内、個人面談」
「一体なんですか」
テスト期間が終わった日の放課後、生徒が掃けた教室で個人面談がはじまった。
机と机を合わせて、それぞれの机に私とハシ先が対面して座る。
「私…そんなに国語のテストひどかったですかね」
「いや?成績に4がつけられるくらいは取ってたと思うぞ?」
「え、じゃあなんで」
うーん、とハシ先は困ったというように顎を掻いた。
「先生が、みんなと仲良くなりたいから!」
「は、はぁ…」
意気揚々と言うハシ先に、私は軽く引いてしまった。
「という訳で、手始めに木内からって感じかな」
「なんで私から、なんですか?私、別に出席番号一番でもないし」
「ま、そこは先生の気まぐれってやつだ」
本当に仲良くなりたいから個人面談なのか~?木内の中に、不信感が募る。
はて、最近呼び出しを食らうような事をしただろうか。いたって普通に、非行などせず、中学校生活を過ごしていたと思ったが…――。
うーん、と考え込み、少し俯いてしまった。
それを察したのか、ハシ先は明るい声でまた話をし始めた。
「木内は、パソコン好きなの」
「え、えぇ、まぁ」
「いっつもパソコンいじってるもんなぁ。でもこの学校、電波飛んでないだろ?インターネットできなくね?何やってんの?」
「え」
「いやいやいや、何やってても怒らないから。」
慌てた口調で苦笑いをした。左手で「違う違う」とジェスチャーをする。
「コーディングです」
「こーでぃんぐぅ?」
「えっと、ホームページ作ったり、とか」
「はぁ!ホームページ作れんのぉ!木内すっげーな!」
ハシ先は顎に当てていた左手を離して感嘆した。
そんなに驚いてくれるとは思わず、木内はドキッとした。
「いつもそれやってんの?」
「いや、いつもじゃ……えと、最近はロボットの動かし方勉強したり、とか」
「ロボットォ!?」
またしてもハシ先は大きな声で反応した。
それがなんだか可笑しくて、木内はクスリと笑みをこぼした。
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