第1章 向き合え、遥真!

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「俺だって…YDK《やればできるこ》だ!!しゃあ、やってやる!!」 そうやって無理やり自らのやる気に火をつけた俺は、意気揚々と椅子に座り、最初の悪魔(ドリル)に手を付けようと筆箱に手を伸ばした…のだが、 「え?は?」 …筆箱がない。俺の大好きな「血飛沫舞う日の相性占い」という漫画のキャラ、川端龍征(かわばたりゅうせい)をモチーフにした赤い筆箱。俺のとても大事なもの。それが… 「なぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!?!?」 嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!!なんで!?落とした!?もしかしてぬ、盗まれ…!? 「…ハッ!!」 そうだ、学校!!終了式の日に、引き出しに入れっぱなしにしてしまった気が…!! 急いで外出できる服装に着替え、階段を駆け下りる。一刻も早く、筆箱を…龍征を見つけなくては!! 「姉貴!!ちょっと学校行ってくる!!」 「お?おう…いってらー。ってなんで学校?」 姉貴の質問に答える暇も惜しく、体当たりするかのような勢いで玄関のドアを開け、チャリにまたがって全力でペダルを漕いだ。学校までは約10分だ。 「ごめんな…!待ってろよ龍征!!今迎えに行く!!」
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