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「あ…その…ありがとう、ございます」
コミュ症の俺がぎこちなく礼を言うと、少年は慌てて首を振り、おどおどとした笑顔を見せた。
「いえいえそんな!ただ僕は、倒れてた君に声をかけてただけですよ」
「でも助かりましたよ…。このまま寝てたら夜になるところだった…」
腕時計を見ると17時。そろそろ帰らなくては姉貴が心配する…いや、しないか…。
まぁ、なんにせよ帰らなくてh「ああああああああああああっ!!」
忘れていた!すっかり忘れていた!!龍征、龍征はどこだ!!
慌てて教室に駆け込み、自分の机の中を確認する。
「あ、あったぁ…!!」
血を思わせるかのような真っ赤な下地に桜の花びらがデザインされている筆箱。間違いない。
俺は安堵で全身を震わせながら涙を流した。待たせたね龍征…もう大丈夫だぜ…。なんて思っていたとき、俺は少年の存在を思い出した。
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