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ブツブツとひとり言を言って、足立は重そうな腰を上げると、俺を邪魔者扱いしながら職員室の外まで追い払った。 「いいか、今回は特別に、おっさんじゃない指導係をつけてやるから。首を洗って放課後教室で待ってろ。」 「逃げたら留年決定な。」と、いたいけな生徒を脅すだけ脅して、早々にドアの向こう側へと消えていった。 追試免除の交渉は、どうやら失敗に終わってしまったらしい…。 放課後のことを思うと今から憂鬱過ぎて、ガックリ項垂れながら教室に戻る廊下を歩いていると、俺の姿を見つけた佳純が満面の笑みで駆け寄ってきた。 「湊ぉー、ずっと探してたんだけど。どこ行ってたの?」 佳純は、今日も気合い充分な付け睫毛+カラコンが入った大きな瞳で俺を見上げながら、自然に腕を絡み付ける。 緩くパーマをかけた栗色の髪に、短いスカートからスラリと伸びた足。女子にしては身長もそこそこあるせいか、モデルみたいな体型をしていて、器量も校内では上位クラス。自分の可愛さを充分に理解していて、女の武器をこれみよがしに使いこなせてしまう今時女子高生。 つい1ヶ月前に告白されて、今は俺の彼女。 「ちょっと職員室まで野暮用ー。」 「えー?本当にー?なんか怪しいなぁ。まさか別場所で告られてたとか?」 「まさか。彼女いんのに?」 「だって湊、モテるしぃー。」 ぷくっと頬を膨らまして、完璧な上目遣いで嫉妬してくれる『デキる彼女』は、結構なヤキモチ妬きだったりする。
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