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ーー放課後。 帰り支度をしているクラスメイトがチラホラと残る教室で、頬杖をついてだらりと席についたままの俺。そんな俺を珍しく思ってか、友達に代わる代わる声を掛けられ、その度に補習だと告げると、決まって全員憐れな視線をよこして去っていく。 そのせいか、憂鬱が更に憂鬱さを増して、それこそやる気なんて全くなし。今すぐに帰ることしか考えていなかった。 「お、ちゃんと残ってたじゃん。えらいえらい。」 俺を見つけるなり、満足そうに口角を上げて近付いてきた足立は、教壇の提出物を回収すると、代わりに気が滅入るような数字や記号が羅列したプリントを数十枚目の前にヒラヒラとかざした。 「1日1枚、再来週までみーっちり補習できるようにたっぷり印刷しといたから。」 「…俺を殺す気か?」 「これに懲りて、次からは死ぬ気で予習するんだな。」 「え?鬼ですか?悪魔ですか?」 「人間です。じゃ、頼んだぞー、押本ー。」 「ーはい。」
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