怪しのコンビニ

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 周囲はほとんど真っ暗なので、店の照明は明るいというより目に痛いほどだが、私の他に客の車はなく、店内に入ると普通のありふれた風景が広がっていた。 トイレを借りようと店員を探すと、ゴマ塩頭の初老の男性が一人、ひょいと商品棚の上から顔を出した。 深夜なので一人勤務なのだろうか。 その後、少し買い物をしてレジを済ませたが、ゴマ塩親父は淡々としたもので、ま近で見ると少したぬきのような顔をしたとぼけた面だった。  トラック便のルートは毎回同じとは限らず、前回とほぼ同じ時間に例のコンビニのカーブを回ったのは数週間後だった。 すると辺りは真っ暗で、コンビニがあったところを見ると、完全に照明がなく、建物は真っ暗な状態だった。  あいにく後ろから別のトラックが車間を詰めてきていたので、急減速するのはためらわれ、結局詳細を確かめることはできなかったが、こちらは小休止前提でいただけに困ったことになったな、と思うと同時に、はて、やはり客足が伸びず閉店か、とゴマ塩親父の顔を思い出した。  そんな話を会社に戻って同僚と話していたら、あぁ、ずっと閉まったままだな、と相槌を打つ者の一方で、数日前に普通に買い物をした、というのもいた。 何とも不思議な、少々薄気味悪い話でもあるのだが、毎日定期で走るコースでもないのでそのまま数ヶ月が経った。  そんなある日、近所を走ることがあったので、ふとこのコンビニを思い出し、わざわざ例の三桁国道をいつもとは逆のコースで遡ることにした。   空はまだ明るく、こちらからだと割と遠くから店の看板や店の一部が見えている。 あれ?看板や店内に明かりが灯っている。 ということはやはり潰れてはいなのか。     
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