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そう言って今度、彼は私の首を思いきり掴んできました。
私は椅子から転げ落ち、彼は私に馬乗りになって、ギリギリと、私の首を、絞めていく。
「ぅぎっ……ガッ、」
知らず、おかしな声が出てしまいます。
酸素が足りなくなって、体に力が入りません。
でも、私は死ねないのです。
このまま死ねたならどんなに楽だったことでしょう。
私の抵抗が止んで、彼は私が屈服したとでも勘違いしたのでしょう、パッと首から手を離し、今度は私の服を乱暴に脱がせて、胸を揉みはじめました。乱れた呼吸と体を這いずりまわる粘膜から、吐き気を覚えました。
「なぁ……ああ、んぅん、んん、ボクは、んふぅ、キミを……んはぁ、愛しているよ……! 伝わるだろう感じるだろう、ほらぁ、ほらぁ……!!」
朦朧とする意識の中、私は気付いたのです。
私はまだ、心のどこかで彼が元に戻ってくれる
と、期待していた。
「……お願いします、殺して下さい。それからなら、好きにしていいですから。ワタシが腐るまでの間、アナタの言う、愛を、ぶつければいい。腐らないようにどこかで冷凍して、愛したい時に解凍すれば、永く愛せる筈ですから」
「そんなぁ……なんでぇ……どうしてぇ……?」
分かりきったことを、彼はぶつぶつ呟きだしました。
胸を揉む力は、なくなりました。
そして私の横に、彼も仰向けに寝転がり泣き出します。
「……ボクはぁ、ボクはもう、どうすれば……」
「……殺してあげましょうか。私が」
「……何を」
「出来ないのなら、やってあげましょうか、と」
そして私は彼の答えを待たず。
ゆっくりと彼に跨がり、
ゆっくりと怯える彼の表情を捉え、
ゆっくりと彼の首に手をかけ、
ゆっくり、
ゆっくり、
ゆっくり、
……ゆっくり。
「……っ、……ガ、」
くぐもった彼の声が、室内を満たします。
喉の、一番固いところ、きっと、骨か何かだと思うのですが、そこを、押せば、彼を殺す事が出来る。
「ガ、ぅギギギ……よォおおォォ"……ッ!!」
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