第三章 誤解、そして崩れる均衡

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エドワードは敏感な花びらを優しく指で捉え左右に割り広げる。 真っ赤に蠢くその部分からは、透明な蜜が溢れていた。 「やぁっ……見ないでぇ……ッ!」 膝の裏をがっしりと抱え込まれているため、身動きが取れない。 鏡の中の自分を正面から見つめるのは、恥ずかしすぎる気がした。 するとエドワードは溢れる蜜を一筋すくい、スカーレットの唇へ押し当てた。 「これが君の蜜の味だよ……これで濡れていると認めてくれる?それとも、もっと違う証拠が必要かな?」 ここでスカーレットが認めなければ、何かもっと恥ずかしいことをされるに違いない。 そう思うと、抵抗する気力は起きなかった。 「それは……わかった、認めるわ……だからお願い、もう今日は赦して」 「そんなこと、できないよ。責任は取ってもらう」 そう言うとエドワードは、ソファに座りなおし、膝の上にスカーレットを乗せた。 ちょうど背後からスカーレットを抱きかかえるような姿勢だ。 スカーレットは鏡と正面から向き合う恰好になる。 「えっ……まさか、ここで?駄目よ、お義兄様(にいさま)」 花びらのあたりに、熱い欲望を感じた。もしここで手を離されたら、そのまま深く突き刺さってしまうだろう。 「駄目よ、エドワード……お願い、考え直して」 「何度考えても同じことだよ」 秘裂に肉茎を押し当て、往復させながら、エドワードは優しく囁くように言った。 まるで子どもを宥めるように、優しく髪を撫でながら。 「ひゃぁんッ……んぁっ……ああぁっ……はぁッ!」 「ほら、スカーレット。欲しいと僕にねだってごらん」 自分からこの熱を望めと、エドワードは言っているのだった。 羞恥で顔から火が出そうだ。けれどスカーレットは、持て余すこの衝動から逃れる術を知らなかった。 「はい……お義兄様(にいさま)、お願い、()れて」 言い終わるのと体が愉悦で支配されるのは同時だった。 花びらの奥に、灼熱の楔は深々と打ち込まれたのだ。 「やぁ……んっ……」 言葉にならない喘ぎ声を、スカーレットは紅い唇から漏らす。 エドワードはスカーレットの腰を掴むと、ゆっくりと奥へ奥へと進める運動を始めた。 「はぁっ……やんっ……駄目ぇ、エドワード……」 朦朧とした頭で一度だけ読んだ名前は、エドワード本人には届いていただろうか。 その日、街の家々の窓に橙色の灯りが灯るまで、部屋には二人の吐息が響いていた。
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