でんじゃらす奥さん

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秋の夜長。 それでもまだまだ暑い今年、俺は後輩と居酒屋で引っかけて仕事の話に夢中になっていた。 「そうなんだよ!もっと柔軟に仕事しなきゃ時代に取り残されてしまうんだよ!」 「そうですよね!」 と相づちを打つ後輩はちらりと左手首の腕時計を見る。 「先輩、そろそろ帰らないと……」 「うん?酔ったのか?」 「僕はまだいけますけど、先輩、新婚でしょ?」 若いのに気を遣ってくれる。いい後輩だ。 「よし!次は俺の家で飲むぞ!」 「そんな!奥さんに悪いですよ!」 「気にすんな!あいつも気にする玉じゃない!」 そう言って、ささっと嫁にメールを送る。 そんなやり取りがあったのは一時間ほど前。
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