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「やっぱり人はまだ住んでいないの?」エス君は母親に質問した。
「数え切れないほどの人々が逃げ遅れて吸い込まれていってるわ。でもさすがに生きてないでしょ。家の二階から飛び降りるのとは違うのよ」母親はゆっくりとベルトを外すと、床に固定したままでは生活に支障が出る家電製品などを解除していった。
「パラシュートとかつけていれば吸い込まれてもうまく着地できるんじゃない?」
「奇特な人が過去に何人も挑戦しているわ。地球に戻ってくる時に使うロケットエンジンも一緒に持って行くけど、帰ってきた人なんて誰もいないわ」
「何かアクシデントがあって助けを待ってるのかも」
「知ったこっちゃないわ。自分から飛び込んでいるんだから。それにあの星にはね、産業廃棄物や核廃棄物も捨てられているのよ。そんな場所で人間なんか生き残れないわ」
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