東の浮遊城

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「雪翔、私達も影に下宿を任せてなるべくこちらに来ますし、那智達も交代できてくれます。冬休みの間だけで終わればいいんですけど、無理なのはわかってるでしょう?」 「うん……」 「早く終わらせましょう。こちらにいる間に、いろんなところを回ってみるのもいいと思いますよ?」 「旅行ってこと?」 「ええ。社から社に飛べますからねぇ。そこから学校に行ってもいいですし、旅をするにも受験になればできないでしょう?いい風に考えてみてください」 「僕、嫌だ!」 そう言って、横にいた重次に無理を言って外に連れ出してもらう。 後ろからは待ちなさいと聞こえてきたが、「みんなのバカ!」とあっかんべーとして滝まで走ってもらい、岩場に座らせてもらった。 「ごめんね。車椅子ごとじゃ重かったでしょ?」 「いえ、平気です。それよりいいんですか?」 「いいの。いつも僕の気持ちを聞かないで勝手に決めるんだもん。お爺ちゃんがこの家の一番偉い人ってのは分かるけど、一言くらい先に言ってくれたり、僕がどうしたいかとか聞いてくれたりなんでしないんだろう」
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