東の浮遊城

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言われたことに取り掛かる前に部屋に案内され、置いてあった荷物の中から、筆記用具とノートなどを取り出して机に置く。 服も羽織ものやひざ掛けを先に出し、残りはゆっくりでいいかと箪笥を見ると、先に送った服が綺麗にしまわれており、本棚にもたくさんの本が置かれていた。 廊下を進むと、いくつかの部屋が開いていたので、中を覗き込んで誰の部屋か確認し、途中の渡り廊下の隅から降りれるようになっていたので、庭に降りて散策する。 前に来た時には何もなくガランとしていたのに、荷物が置かれるだけで女中の狐も忙しく働き、とっても賑やかになっていた。 「雪翔ー」 「はーい。庭にいるー」 那智に呼ばれて返事をし、渡り廊下まで戻ろうとして花壇に刺さっている鉄の細い棒に目を留める。 一本引き抜いて見ると、長さは15cmほど。 「これだ……」と花には悪かったが一本だけ貰って那智のところに行き、棒を見せる。
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