東の浮遊城

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「なんだ?その棒」 「花壇に刺してあったんだ」 「倒れないようにするやつか」 「多分。僕、これ欲しい」 「はぁ?そんな物どうするんだよ」 「うん……使えないかなーって思って。それより用事じゃないの?」 「あ、そうだった。広間に集まれって言われたから迎えに来た。ちょうど見かけたし」 「なんだろう?」 那智と広間に行くと、昴と胡蝶も座っており、「ここじゃ」と胡蝶に呼ばれて隣に座る。 「よう無事であったな」 「栞さんが助けてくれたから……」 「彼女はもう大丈夫じゃ。妾とあの子狐とで治したからの」 「もう起きてるの?」 「一度目は覚めたが、疲れておるのであろ。また眠っておる」 「そっか……」 「そんなに暗い顔をせずとも良い。怪我がなくて何よりじゃ」 「うん……」 「雪翔、その棒はなんだ?」 「那智さんにも聞かれたんだけど、僕、試したい事があって、さっき花壇でこれ見つけて。貰ってきちゃった」 「何に使うのかは知らんが、気をつけて持てよ?」 「うん、分かった」
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