東の浮遊城

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「きっと……お館様にはお考えが何かあるのだと思います。坊っちゃまをお守りしたいとの思いはみんな一緒です。この国では、大体がお仕えするお館様の命に従うので、私も今まで考えたことは無かったのですが、坊っちゃまの世界では、みんなで考え生きていく世界なのですね」 「うん。たしかに僕は子供だから、親のいうことは聞かないといけないけど、相談くらいはあるし……今回は僕のこの力のせいで起こった事なんだよ?僕だってみんなに迷惑かけたくないとか、いろんなこと考えてて、でも、何かを僕が話す前にすべてが決まってて。それが僕は嫌だったの」 「そうでしたか。ですが、お館様も頑固ですから、お聞き入れくださるかどうか……」 「重次さん、この浮遊城は出入りは簡単に出来るの?」 「いえ、無理です。私も帰る時には那智様に連れ帰ってもらわねばならないほどですし、簡単に来れる場所でもありません」 「そっか……」 「坊っちゃま?」
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