4/8
前へ
/278ページ
次へ
それ以外は自由にしていいというので、前から行きたかった場所。旅行ではないが、少ない人数で旅をしたいと祖父に申し出る。 「僕、秋も冬も見てみたいんだ。誰かに守られるんじゃなくて、自分で。もちろん、一人ではできないこともあると思うから、一人だけ誰かをつけて欲しいんだけど」とチラッと重次を見る。 「学校や病院はどうする?」 「この紐に念じたらいいんでしょ?勉強もちゃんとするし、その時はあっちに戻るのに助けてもらわなくちゃいけないけど、二週間に一度だし、社を飛んで見に行くんじゃなくて、自分でしてみたいんだ」 「荷馬車に揺られ、時には歩き、場所によっては泊まる宿もないところもあるぞ?」 「うん。それでも行きたい」 「分かった。その代わり、必ず何かあれば連絡をするのじゃ。それだけは約束しておくれ。でないと、儂の心臓が持たんわい。で、もう決めておるということは、いつ行くのじゃ?この事は冬弥は知っておるのか?」 「話して無い……反対するもん。特に栞さんが。でも、冬弥さんは気づいてると思うんだ。だからね、お正月のお祭りの最中にこそっと出たいの。お爺ちゃん、その位簡単に出来るでしょ?」 「荷物はどうする?路銀は?山に行くにつれ、山賊も出れば、街もなくなる。路銀も盗まれぬようにせねばいかんし……」 「だから重次さんを選んだの。ほんとは、二人でいいんだけど、お爺ちゃん勝手につけるでしょ?」
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1607人が本棚に入れています
本棚に追加