番外編

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朔はもともと口数は少ないし、ふたりでいても沈黙が続くこともある。 でも今続いている沈黙はそういった類のものじゃなくて、次第に居心地が悪くなった私は、観念したようにいった。 「……さっきの忍者の店に、昔のお客がいたの。それで逃げただけ」 「客?」 「Tシャツ姿の男。なんか店の従業員に見えたから」 「あぁ……そいつ。そいつ、山梨の知り合いみたいだったけど」 「えっ」 まさかとは思ったけど、そんな偶然があるなんて、世間は狭い。 「それだけで逃げたの? 山梨から」 「山梨さんから逃げたんじゃないわ」 「似たようなものだろ」 朔はキッチンから出て、ゆっくりこちらに歩いてくる。
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